いわきび、森の明るみへ

四国の片隅から働き方や住まい方を再考しています。人生の時間比率は自分仕様に!

身体と試行錯誤

SNSで、小学校低学年の子たちがプール授業の前の着替えで、パンツを履いたまま水着を着てしまったという投稿を見た。

 

これに対して一方には「今の子はこんなこともできないのか」という口調があり、他方には「いや子どもたちはこの3年間、コロナ禍で集団生活も水泳の機会も無かったのだから知らないのも無理はない」という意見があった。

 

思えばかつて子ども時代に「誰でも経験していそうなこと」だと多くの大人が思っていることは、存外いまの子どもたちにとって「あたりまえ」ではなく、経験する機会も必要性もたいしてなくなっているのかもしれない。人手不足でろくに目配りもできない、人員配置も満足にできないプール授業なんて危険なだけだし…。

 

でも、そもそもコロナ前の子どもたちが、いやもっと言えば今の小学生の親世代が、正しい運動法や身体の管理がはたして出来ていたのだろうか。

 

なにしろ夏場に運動した後でも水を飲むなと学校で言われた世代である。

 

大人になって働けば労働基準法などどこ吹く風の環境で、残業と無駄な会議と、人生の優先順位ほかすべてを仕事に捧げるという日々に明け暮れている。

 

今でこそこまめな水分補給が喧伝されるようになったが、それでも公共交通機関の運転士などが車中で飲食しただけでバッシングがいまだにある。

 

 

もう五年以上前だが、腕や足を傷めたのがきっかけで鍼灸に通い詰めた時期がある。その施療院は接骨院と一緒になっていて、交通事故対応もしていたのでかなり幅広い症状の患者を受け入れていた。

 

当時、カーテン越しに聞こえてくる会話でとりわけ気にかかることがあった。それはスポーツ中のケガの多さだ。

 

中高生なら部活中のケガ。

大人なら休日に趣味でやる草野球やママさんバレーの類のケガ。

 

バレーだとジャンプの際に膝を傷め、バスケだと瞬発力の要る動作で足首などを傷め、サッカーでは脚を、野球やテニスで肘を…といった具合に競技ごとにケガしやすい部位の傾向もある。

 

それも大人のばあい普段から活発に動くことが好きでスポーツを趣味で楽しんでいる人たちのようだ。

 

おそらく皆、スポーツにあたって自分の身体をどのように動かし、休め、調えるかなど教わった試しがないのだろう。とくに大人は身体の使い方をゆっくり覚えていく機会など無かっただろう。体育の授業や部活はスポ根精神論が罷り通る時代だったろうし。

 

気候変動のせいで夏の暑さは三十年前とは比較にならないレベルになった。屋外の作業やスポーツは一定の基準を超えたら中止しないと命が危ない日が多々ある。日焼け止めの使用禁止など児童生徒の身体に何の利益もない。

 

教育現場の過重労働等見直しもあって、部活動を外部委託する動きがある。

 

何にせよ、数十年前の常識では身体を守れなくなりつつある。

健康や運動にまつわる情報をアップデートしながらもそこに、少しずつでよいから各人が自分にあった身体の鍛え方休め方を試行錯誤しながら見つけていく余白が、あってほしいと切実に思う。