いわきび、森の明るみへ

四国の片隅から働き方や住まい方を再考しています。人生の時間比率は自分仕様に!

愛しのサルスベリ

 いよいよ夏本番が近づいてきた。戸外で目を奪われる植物たちも盛夏の佇まいを見せる。ムクゲヒメヒオウギズイセン、ルリマツリ、ササユリ、ランタナ…。

 

 なかでも今年はサルスベリがいっそう鮮やかで美しい。私はサルスベリが好きだ。どの季節の姿も躍動感があって、どのタイプの建築様式にも映える。日本家屋にも洋館にも合う。白い壁、墨色の瓦や築地塀、木造屋、山野の只中のどこに在っても夏を醸し出す。

 

 温泉街を抜けて山道へ向かう道には、用水路沿いの家の庭から水辺を覆うように咲いている。

 

f:id:iwakibio:20230730140805j:image

 

少し日が傾いた時間の佇まい。

 

f:id:iwakibio:20230730140810j:image

 

f:id:iwakibio:20230802115738j:image

 

 

 春の芽吹きはみずみずしく、その幹はなまめかしい。

 夏には青々としたイチョウの葉を背景に空を覆う。

 

f:id:iwakibio:20230730140830j:image

 

 建物沿いや街路にも咲く。

f:id:iwakibio:20230802115814j:image

 

f:id:iwakibio:20230802123252j:image

 

 

 20年近く前、初めて東北を訪れたとき、午後に少し時間があったので街外れの高台までバスで行ってみることにした。真夏だったにもかかわらず、陽射しの強さも色合いも四国と全然違い、また草木も新緑の色をたたえていた。

 

 路地の木陰には夏休みの子どもたちが遊んでいる。山道の途中の八百屋にならぶ果物の籠に射す陽射しは青みを帯びるように影が深い。旧家と思われる邸宅が並ぶ区域の庭にはサルスベリが咲き、静かに夏の日を浴びている。ずっと昔からこの花は辺りの生活時間を刻み、夏の静けさを守ってきたのだろう。

 

 

そして秋になるとこんな見事な紅葉が見られる。

 

f:id:iwakibio:20230731192330j:image

 

葉が落ちれば褐色の丸い実と裸木も趣がある。

 

サルスベリは愛おしい。どんな空間に在っても彩を添え、季節を告げてくれる。今夏もその花陰で日ごとに違う一瞬を楽しむ。