いわきび、森の明るみへ

四国の片隅から働き方や住まい方を再考しています。人生の時間比率は自分仕様に!

生存の技法

人は殖え続けることが善なのか

私の居住地だけかもしれないが、バイトやパートに「ここまで要求するの⁉︎」という求人がとても多い。そういう所に限って「この賃金で⁉︎」である。 求められる責任や態度はフルタイムか、あるいは正規雇用者と同等に近い。つまり期間労働者としての賃金や待遇…

愛しのサルスベリ

いよいよ夏本番が近づいてきた。戸外で目を奪われる植物たちも盛夏の佇まいを見せる。ムクゲ、ヒメヒオウギズイセン、ルリマツリ、ササユリ、ランタナ…。 なかでも今年はサルスベリがいっそう鮮やかで美しい。私はサルスベリが好きだ。どの季節の姿も躍動感…

トイレに見る治安

地元にはそこそこ幅をきかせているスーパーがある。 今度イオンと統合が決まり、さて商品ラインナップやサービスがどう変わるやらと、最近はごくたまにしか利用しないため他人事みたいに遠巻きに眺めてきた。 先日、市内でいちばん大規模なその店舗で生活防…

明日はまだ誰も

このブログで何度か書いている父方の祖母は、実は今年で100歳を迎える。これまで記してきた歳は私の計算違いだった。聞けば祖母は大正12年生まれらしく、ならば今年で一世紀分生きたことになる。この祖母を思い出すにつけ、考えさせられることが沢山ある。高…

体調不良の基準

2023年5月から、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2類から5類へ変更されることになった。これに伴い、公的な感染対策は緩和される。市中感染はこれまで以上に増えるだろう。また発熱外来中心ではなく一般の医療機関でも患者を受け付けるとなれば、感染…

ぬるま湯の時間のなかで

日曜の夕方は小雨でも傘を差して散歩に出る。残業や休日出勤に追われる生活をしていると、休日の終わりに何かわずかでも仕事とは無関係な、否何らかの「用事」ではない時間を意識して持たないととめどなく仕事や世間の常識に吞み込まれ包まれて潰されてしま…

災害と嗜好品

休日にふと思いついてトーストにバターを塗って食べたらとても美味しかった。パンもバターも昨年から値上がりし、どの食料品も買うとき一瞬の迷いが生じる。それでも美味しいものの力は凄い。生活の満足度が違う。食パンにはちょっとした思い出がある。東日…

逆行する時間を生きる―『港町』に交差する生と死―

もう7年ほど空家となった隣家の庭は今夏も勢いよく緑に包まれた。ムクゲが咲き、夏草が茂り、今はそれも終わって真ん中に生えたレモンの木は黄色い実をつけている。誰も獲らないこのレモンは、たしか昨年も3~4月頃にその数か月前から果実をたわわに実らせた…

「同じ」子は二度といない

少し前だが、生命科学もここまで来たかと思うニュースが出た。globe.asahi.comwww.nishinippon.co.jp クローン技術によって死んだペットの複製を願う依頼が増えているという。この技術がより安価でたやすくアクセス可能になったら、あの世のペットを蘇らせた…

シュトレンの季節に

クリスマスがやってきた。SNSではシュトレンの画像がたくさん出回っている。アドベントを迎えてから毎朝一切れずつ食べていく慣習の、ドイツのクリスマス菓子である。 この数年で洋菓子店でもよく見かけるようになった。シュトレンを見ると、子ども時代のク…

老後の下地をつくる

今年97歳になる父方の祖母は、昨年春に祖父を亡くしてから持ち家に一人で暮らしている。数年前から急速に足腰が弱ってはきたものの、市内にする叔母が毎日訪ねて朝食を買い届け、服薬管理をし、また週末は私の両親がおかずを作り届け、どうにか一人で過ごせ…

何月何日であろうと

とうとう通勤路のそば屋に「年越しそばご予約承ります」の看板が出た。最近朝が遅くなりがちで自転車をすっ飛ばして職場へ急ぐのだがそんな朝に「ああ来たか…」と胸に迫るものがある。 先が見えない人間にとって暦は想像以上に心身を追い詰める。世の中には…

広場があること

夏過ぎから、退勤後には中心街の広場を通って帰るようになった。敷地の隅には美術館も図書館もある公共の広場だ。地元は城下町で、お城のふもとに廻らされたお堀と森に囲まれて、散歩やジョギング、運動にはげむ人たちが毎日行き交っている。 新コロ対策で室…

わが机上自由なりき

11月は暖かな日が続き、月半ばには夏日に近い気温の日さえあった。おかげで職場の事務所外の作業―それも水仕事付きの身体を使うチームワーク―も、水が気持ち良いくらいの気候で順調に終えることができた。 何度も書いているが、私は手や体を使うタスクも他人…

もっと明かりを

街中はすっかり晩秋の風景を呈しつつある。この時期美しいのは冷気に浸された紅葉で「霜葉は二月の花よりも紅なり」(杜牧「山行」)に深く首肯する。日が短くなると同時に心細さも増す季節に心身が求めるのは赤や黄金や橙の暖色だ。白い薄野に沈む半熟卵の…

匿名の心地よさ

職場で現場行きや屋外作業、チームワークが増えたこの三か月ほど、自分がいかに田舎暮らしに不向きかを痛感させられている。車の運転テク、肉体労働、他人との共同作業、濃密な人間関係、集団行動、適度な声がけ、他人と雑談することが苦にならずその間合い…

言葉はたんなる潤滑油か

人間関係において「言葉は潤滑油」という考え方がある。一言二言のたわいない会話でも人と人をつなぐコミュニケーション円滑化の手段となるらしい。たしかに日常生活のなかであいさつや声がけによって共同作業がスムーズにやれることは多々ある。しかし言葉…

老後は1世代

この半年ですっかり家にいる時間が長くなった両親を見ていて思う。どんな立場の人でも「老後をどう過ごしたいか」はあるていど意識し、できれば言語化できるようにしておくのが望ましい。少なくとも仕事を定年退職したからといって、社会に対する責任が全く…

ダブルケア時代の子育て懸念

自転車通勤の帰り道、市街地の大型スーパー付近を通ることがある。ちょうど退勤ラッシュであり、買い物に勤しむ人も多く、子どもを連れて帰路につく人もたくさんいる。そんな人混みを自転車で進んでいくと、いくつか気づくことがある。 学校や学童の子どもを…

無条件の信頼

屋外はすっかり人が戻った。市中すぐ横を流れる河川敷付近には小さなテニスコートやグランドがあり、スポーツ練習に興じる人も多い。遊具をそろえたスペースもあって、そこは多くの家族連れが集まっている。小さな子どもはもちろん、犬もいる。 よく晴れた初…

風の抜ける場所

外出自粛が緩和されたからというわけでもないが、夕方の仕事帰りに自転車で散歩するのが目下私の楽しみとなっている。 コースは職場から自宅付近までは直帰して、さらに東南方向へ迂回するエリアが気に入っている。どちらかというと温泉街付近にかかるのだが…

裾野は層を圧し上げる

少し前に、仏検が存続の危機に直面しているというニュースを知った。【緊急】「仏検」存続のためのご寄付のお願い | 仏検のAPEF/公益財団法人フランス語教育振興協会 やはりCOVID-19の影響で試験の開催中止による大幅な事業収入減が影響している。が、この…

食を考える映画たち~amazon、Netflixにて視聴可~

STAY HOMEで自炊にハマったり日々の食事を見つめ直すことになった方も多いかもしれない。そこで、COVID-19がどうなろうと続いていく日常の食について再考する情報を与えてくれる映画を紹介する。 2004年公開の「スパーサイズ・ミー」 Amazon.co.jp: スーパー…

そこに不在を感じるから

COVID-19感染対策の一環で、仕事や学業をはじめ生活においてオンラインによる交信はいまや不可欠となった。youtubeなどの動画配信、ZOOMやSkypeといった映像の同時通信、メールなどテキスト通信等、タイプはいろいろだが一つ留意が必要だと考えている。 それ…

シームレスであること

埃というのは凹凸のあるところに溜まる。表面がデコボコで段差のある平面は汚れやすい。清潔を保つにはしょっちゅう気に留めて掃除しないといけない。 この凹凸はモノが増えるとおのずとできやすい。またタスクをたくさん抱えた状態でもそうなりやすい。とり…

新型コロナがただす他者との距離

「新しい生活様式」が発表されてしばらく経つ。あれを「生徒手帳みたい」という巧みなたとえがツイッターに投稿されていて、じつにその通りだと思う。 あそこに列挙された項目を全部実践するのは難しいだろうが、ソーシャル・ディスタンシング(Social Dista…

住まいは命の器である

コロナ危機に対応する支援のひとつに、住居確保給付金がある。以下「厚生労働省 生活を支える支援のご案内」より。 drive.google.com もともとはリーマンショック時の失業者支援から始まったものだが、今回それが改正されて4月30日からはハローワークへの求…

わが手に、わが台所に

足のケガで旅行に行けなかった昨年の夏、頻繁にアクセスしたのが日本から海外へ移住した方々のSNSだった。わけても印象的だったのは、7年前にご夫婦でタイ・バンコクへ移住した方のブログサイトで、街の様子や生活様式のちがい、夫婦のやりとりなどが漫画と…

精神的なことは物理的なこと

寒風のなかで飲むコーンスープは美味しい。 月・金は19時まで開いているハローワークを出て、自販機で買った缶入りコーンスープを外で開けて飲んだのが先々週の月曜夜である。 実は、12月の職場面談で、雇用契約の期限を入職当初書面で提示した最大4年までと…

地の利と行動力

このブログではもう何回も書いていると思うが、いま住んでいる地元は県外とくに四国外とのアクセスが非常に難しい。決して僻地ではなく、暮らすぶんには地方都市の中ではまずまず便利なほうなのだが、四国外へ出るときはいわば遠征プラン、メイン行動の予定…