いわきび、森の明るみへ

四国の片隅から働き方や住まい方を再考しています。人生の時間比率は自分仕様に!

精神的なことは物理的なこと

 寒風のなかで飲むコーンスープは美味しい。

月・金は19時まで開いているハローワークを出て、自販機で買った缶入りコーンスープを外で開けて飲んだのが先々週の月曜夜である。

 

 実は、12月の職場面談で、雇用契約の期限を入職当初書面で提示した最大4年までと思うようにとの話を受けた。現在3年目なので雇用期限は21年3月末までをメドに進路を考えるようにとのこと。完全にこの期間でクビとも断言できないが、いまそれを言われるのだからやっぱり雇用はこの時までと思うのが妥当だろう。今年1年間はいわば執行猶予みたいなかたちで、仕事はある。

 

 この最大4年とは無期転換制度との関係でもうけた年数で、私以外の他の非正規雇用者は制度成立から最初の5年目をもってすでにその年数に該当するため無期転換できたが、今いる非正規雇用全員を無期にするのは難しいため、等々の説明があった。

 

 要するに非正規に対してよくある契約期限の説明である。

 

 よくあるし、私自身はいずれ地元を離れるつもりでちょこちょこ求人応募もしていた。だが、年齢や経歴からして県外転職は厳しいなあと考えてた矢先のことであり、何より昨年の面談では4年たったからハイサヨナラ、とはならないという説明を受けてそれをメモしてあることを振り返ると何か納得いかない気分で、先月半ばに上記を言い渡されて年末年始はかなりの悲痛と落胆を味わう時間となった。

 

 家族には言ってない。地元と遠方の、ごく限られた友人にしか伝えていない。

 

 自分が現職に不向きなのは解っている。

 

 自分でもずっと居ることは自分にも職場にもあんまり良くないな、とも思ってきた。

 

 ただ、入職当初私には高額の奨学金負債があり、一昨年完済できたあとも到底次のステップを踏むだけの蓄えにはほど遠かった。それでもこの短期間で経済的余裕を何とか作り得たのは非正規としてはかなり好待遇の現職収入があったからだ。それには感謝しているけれど、これが足かせになるならもう離れてよいということだろうか。

 

 実際こんなことでもなかったら本気で地元を離れ転職するインセンティブもそうないので、ある意味ではチャンスかもしれない。そんなふうに考えられたのは年が明けてから。目ぼしい求人を探して数件応募し、いま一つ結果待ちである。

 

 私もこれまで何もしなかったわけではない。年末年始は昨年からやってた通信の授業と課題をこなし、求人応募書類を書いて(断続的に応募して書類のアプデをしておいて良かった)、別の転職サイトに登録し、今年の時期ごとの優先順位を決めた。ハロワに登録し直し、職業訓練校の見学説明会に行き、同様のスキル習得目的で民間スクールを調べ説明も受けた。そうやって動きながら、徐々に活路になりそうな方向を探れている。

 

 

 悲壮な気分というのはこの時期とくに助長されやすい。冬で、年度末特有の多忙さ不安定さに溢れ、退職・転勤・転職で人の入れ替りがある。この国の会計年度の決まりがそうなっているだけのことだから、あとはとれる範囲の選択肢を見渡して対策の先手を打つ。身体を温めるという物理的なことは、悲観的になりやすい気分、精神的な問題の悪化を食い止めるのに役立つ。これと同じで、メンタル疾患や自殺等の問題は、雇用や賃金や社会保障、最低限の身の安全を守るための衣食住の有無や多寡に左右される。

 

 最低限の物理的インフラさえ壊れた社会では精神論など空疎なだけ。大人がやるべきことは、皆が人たるに値する生存ができる物理的条件の整備である。「ものづくり」は本来そのための工学を指すはずだ。

 

 あとは、変な空白の時間を作らないこと。不安やネガティブな感情は、多忙な時間の間隙を突いてささやかなひと時にさえ入り込みその人を苛む。息抜きの時間にはなるべく意識して楽しくリラックスできることをしたり考えたりしよう。

 

 制度も市場も私的領域も、人間が作ったもの。人の力で変えていけるはず。先の見えない時代にあって、そんなことを考えながら毎日過ごしている。