STAY HOMEで自炊にハマったり日々の食事を見つめ直すことになった方も多いかもしれない。そこで、COVID-19がどうなろうと続いていく日常の食について再考する情報を与えてくれる映画を紹介する。
2004年公開の「スパーサイズ・ミー」
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でおなじみモーガン・スパーロックによるドキュメンタリー。
「スーパーサイズ・ミー:ホーリーチキン」
今回はスパーロックが自らチキン料理のファーストフード店を立ち上げ、その過程で食肉・ファーストフード業界の実態に迫る。私が見どころだと思うのは、今日の自然志向・健康志向が広告業界のキャッチコピーによる印象操作にすぎないことを仔細に示すシーンだ。ヘルシーさを求めているように見えながら、客はグリルよりフライドなチキンを食べたがる。油で揚げたものは不健康というイメージにもとづき、チキンを「フライ」ではなく「クリスピー」と呼ぶたくみな言い換え。ホルモン剤フリーは殺処分後の処置に対してだけ該当すること。本編で明らかにされる「放し飼い」の定義には拍子抜けしてしまう。
なお、上記の鶏の飼育法を含め、食肉産業の機構や農産物生産がもっとシビアかつ広範に示されているのが「フード・インク」。
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食品業界を支配しているのがたった数種類の穀物であること。それが家畜の飼料となり草食動物である牛の胃腸内で異変を引き起こし、O157の被害が拡大したこと。コーンから作られる高フルクトース・コーンシロップがあらゆる食品に行き渡っていること。食肉加工や作物収穫に貧困にあえぐ不法移民労働者の使用が構造化していること。硬派な作品を観たいならこちらもぜひ観てほしい。
ほかに日常飲料の矛盾を突いた映画として「おいしいコーヒーの真実」がある。
Amazon.co.jp: おいしいコーヒーの真実を観る | Prime Video
また、Netflixでは「食品産業に潜む腐敗」が網羅的で役に立つ。
なぜ一つの食材を契機として町に武装した人間が配置されるのか(「アボカド戦争」)、巨大資本がある土地の収奪と労働者の搾取をどれだけ構造化するか(「甘い汁」)、食をめぐる市場とは誰も無関係でいられないことを知らされる。
以下の作品は未視聴だが、忘備録として挙げておく。
一般に流通している食品がどう作られ、どんなシステムで自分のもとへやってくるのか、その過程が遠くの誰かの生存基盤を掘り崩していないか。知ることはより良い善い生の第一歩である。