いわきび、森の明るみへ

四国の片隅から働き方や住まい方を再考しています。人生の時間比率は自分仕様に!

それぞれの仕事状況

 もらった誕生カードを机に並べて返信の言葉を探す。誕生日ということで家族が用意してくれた特別ディナーの後に自室へ引き揚げた木曜夜のことだ。

 

 思いがけずありつけた夕食は、街中のカフェレストランが始めたテイクアウトのセットで、ふだんはフレンチ総菜を中心にスイーツやコースメニューを提供する店である。今回のセットがいくらしたのか家族に聞いても答えてくれない。が、店内営業を取りやめテイクアウトのみに切り替え、予約客のために19時まで開店するという苦肉の策でお店は何とか回っているもようだ。採算は取れているのだろうか。もともとテイクアウトをしていなかった飲食店では平常時の数割しか取り返せないのが実情だろう。

 

 緊急事態宣言が出るずっと前から、飲食店は軒並み苦しい経営を強いられていた。3月からとにかく人が集まる行為はダメ、でも休業補償はしない、自粛要請という呼びかけだけするからあとは自己責任でやってねという国からの無責任な姿勢で今日にいたる。

 

 わが家では母の勤務先飲食店が全店舗GW明けまで休業となった。昨年まで祖父の介護と並走して2店舗の食材発注・メニュー選定・店舗での配食を切り回してきた母は、いきなり与えられたこの静かな時間に、不用品の断捨離に勤しんでいる。

 こういう時間の使い方は本当にごく限られた人だけに可能な「贅沢」だ。ローンの終わった持ち家に、健康な夫と非正規でもどうにか勤務先がある娘と住み、パート収入が唯一の生計でないからひと月位なら暮らせるだけだ。飲食店勤務だけで生計を立てていた人は今、家賃ほか月々の支払ができるかどうかの苦境にいる。

 

 東京住みの友人から届いたカードには、2月より在宅ワークに移行した、通勤がなくなった分とても快適と書いてある。地元市内の、わが家から遠い郊外に住む親友は「何がテレワークだ、この地区は大手工場の下請け孫請け勤務のベッドタウンだ」と書いている。私と同様あてにしていた仕事や就職説明会が流れた、ともある。

 

 コロナは現代社会のルールを一気に覆しつつある。

 3か月前まで「ふつう」だったことが、コロナ禍以後の世界ではできなくなる。

 国外はもちろん、国内、県内でさえ人の移動はしてはいけない。

 

 こうなると今は住んでる自治体でベストを尽くすしかない。

 が、わが県知事は休業要請を出さない方針でいる。「緊急事態宣言回避のため」に外出自粛要請してきたが、4/16夕刻にそれは全国に拡大された。国が「やっている感」しかないのは事実だけど、ここまできたら「業種の線引きが難しい」など言わず休業要請を出せと思う。もちろんこれは外出禁止と補償をセットでやらない国が悪い。

 

 私はまだ自転車で通勤している。マスクとフード付き上着、消毒で防護しつつ。職場では部屋のドアと窓を終日開放しての換気で冷え、備え付けのハンドソープで手荒れし、その雇用がどのみち今年度末で終了なのでやっぱりやる気が消えかかる。

 

 この先どうやって生計を立てる?所持品はパソコン必須として、在宅でできる仕事にありつけるのか?でもそれだけで世界が回るわけはない。在宅勤務なんてできるのはたまたまそういう職種でその条件が整った人だけだから。食料や物資を調達できるのは、それらを作ったり売ったりする人々がいてくれるから。

 

 もし本当の破局がきても、ものを作ったり動かしたりする基本のしくみを知っていれば再建の方途も見つけやすいだろうと思って読んでいるのがこちら。 

 

 

 どうか今困っている人たちが、人間らしく尊厳をもって新たな世界で暮らしを立て直せるように。