いわきび、森の明るみへ

四国の片隅から働き方や住まい方を再考しています。人生の時間比率は自分仕様に!

コロナ近況

 一昨日からようやく、ドラッグストアに並ぶ長蛇の列を見かけなくなった。通勤路の途中にある大規模ドラッグストアの入り口には「本日3/12(木)はマスクの入荷はありません」と書かれた看板が立っている。あれほど大騒ぎしたトイレ紙やティッシュは徐々に棚に並び始めた。それでだろう。

 3日前まではなかなか凄かったのだ。毎朝通勤途中に寄るコンビニの隣にあるこのドラッグストアの前に、朝8時前から行列である。広い駐車場には車が数台しかないからたぶん集まっているのは近隣住民と思われる。年齢も性別も偏りがない。中には長時間待機用にキャンプや釣りで使う折りたたみ椅子を持参して座り込む人もいる。

 それにしても、いったいどういう目的でこの人たちは並んでいたのだろう。皆マスクを着用している。マスクの手持ち在庫はあるみたいだ。そもそもマスクは今どこの店舗にもない。生産工場は増産をかけてフル稼働らしいが、流通・小売りが追いつかないのか。ではトイレ紙やティッシュを買うためか?これらは生産・流通・販売に何ら欠損がなく在庫も十分あるのに、大量に買い占める人のせいで売り出すやいなや一瞬で売り切れ、ふつうに使って在庫が切れた人たちがしかたなく並んでいたのだろうか。

 とはいえその付近は決して辺鄙な場所ではなく、隣に大きなコンビニ、東へ進めばスーパーもある。そこから1Km前後の私の居住区では小さなスーパーの棚にトイレ紙が余っている。聞く話では車で出入りできる大型ドラッグストアは品薄で、ふだんあまり人が行かない小規模スーパーには物資があるらしい。不安に駆られて人が大挙する場所よりも、手近な小さな場に目を向けたほうがいいようだ。

 

 仕事・経済面にも新型コロナウイルスの影響は甚大だ。接客でも販売でも製造でもない自分の職場にもその影響は出ている。とは言えその影響の中身は一斉休校の余波であり、取引先事業所でお子さんの面倒を見るためにフル出勤できない勤務者が多数いるため作業や納品が遅れる、という話だった。むしろ深刻なのはリーマンショック以上の経済危機となった今回、巷で4月1日採用の内定取消や派遣・契約切りが頻発し始めていることだ。結局あと1年は地元で現職続行となった自分の転職活動はどう難航するのか。

 

 日本のコロナ対策に誰もが感じている欠点は、圧倒的な検査数の少なさである。PCR法は時間がかかる・精度が曖昧・検査機器が足りないうえに、保険適用がなされるまでは保健所を通さないと検査にたどりつけなかった。にもかかわらず、保健所が検査を拒むケースが多々あり、肺炎とおぼしき症状があるのに医療機関をたらい回しにされるなど時間のロスが生じた。結果、その間に別の人がーそれも医療従事者が感染するという信じられないループも起きている。感染症対策として、軽症者の自宅待機は正しいが、軽症か重症か、そもそも感染したかどうか素人にはわからないわけで、やはり検査体制の拡充が求められる。隔離が必要なら軽症者を入院させる管理施設を決めるべきだ。病院も、一般診療とコロナ治療をきちんと分ければよい。分けず、また検査もろくにできないがために、院内・医療従事者への感染が広まっている。

 

 検査を徹底すれば医療崩壊が起きる、という主張もネットではなされるが、日本の医療インフラはそんなに脆弱なものなのか?民間の医療保険しかないアメリカとも、医療スタッフ不足のイタリアともちがって、曲がりなりにも国民皆保険が前提で街中の病院ですぐに診てもらえる日本の医療体制が、コロナに対して無力だろうか。

 こうした日本の対策を、世界水準比較や海外の実践事例を引き合いに批判する声がSNSには溢れている。たとえばWHOの声明を参照するなど。

 

https://www.who.int/dg/speeches/detail/who-director-general-s-opening-remarks-at-the-media-briefing-on-covid-19---9-march-2020

 

 しかしWHOが今回何か有益なことをしただろうか。パンデミック宣言を出したのは遅く、深刻な危機にあるのは皆とっくにわかっているのに煮え切らない発表ばかりで今にいたる。韓国の取り組みを高く評価できるのは同意だが、民間の医療ベンチャーの発展・普及によりそこへ検査を回せたこと、ドライブスルー検査など迅速な検査体制が作れたこと、IT化の利点を生かしシステマティックな医療体制が築けたこと、MERSの反省をふまえて実現した取り組みもあることがポイントであり、医療土壌の異なる国ですべてを真似ることは難しい。

 

 このコロナ騒動はいつ終息するのだろう。終息するのか、何をもってどんな形で終息とみなすのか、それも今はわからない。インフルのように季節性の流行ウイルスになるのか、それとも不可解な症状で高い致死率を現わし始めるのか。

 発生源だった中国では昨日、初めて新規感染者が1ケタになった。ピークは過ぎたというのが大半の見方だ。今ではイタリアへの医療支援にも乗り出していて、国際社会での信用に大きく貢献するだろうとは思う。でも経済面では、これまでのように中国に生産拠点や支社を置くことはためらいが生じるのではないか。そうすると国際経済の流れは大きく変わるだろう。

 経済面では厳しい局面となると思う。だが市場は市場として数多あるセクターの一つなのだから、それ以外の国家や私的領域、その中間団体には別の動きができるはずだ。情勢をわき目に自分はどう動くか、を注意深く考えていこう。