いわきび、森の明るみへ

四国の片隅から働き方や住まい方を再考しています。人生の時間比率は自分仕様に!

チャリの景色、クルマの景色

先週月曜から自転車通勤を再開した。それはよいのだが、炎天下の自転車こぎをあんなにキツく感じるとは思わなかった。自宅から職場まで、直行だと30分弱はかかる。行きも帰りも汗だくで、今まで当たり前に乗っていたことを不思議に思い、体力の低下に驚いて…

平日と休日のあいだ

夏休みを頂いた。7〜9月までに3日消化しなければならなくて、その2日目を今日にした。 わが家は多忙である。県内市外に住む入院中の祖父を看る&祖母を歯医者へ連れていくという用事のため、父は8時前に車で出発した。寝床から何となく物音を聞いてそれを確か…

散歩道から

晩夏にさしかかり気温がマシになった。足指の骨折がだいぶ回復して少し長く歩けるようなので、夕方散歩に出た。 カボチャの葉。畑からフェンスに巻きついて空へ蔓を伸ばす。 ザクロの実。白壁と夏の緑が映える。 あるお宅の生垣。ブルーセージ、トケイソウ、…

囲い込みの果てに

先週の日曜午後、一番近いコンビニで用事をすませたあと逆方向の坂道だがどうしても喫茶店へ行きたくて徒歩で向かった。自宅からたいした距離ではないが、最短距離につながる道路は山道を少し整地したていどの急勾配で、自動車が身体スレスレに通り過ぎてい…

父の楽しみ

「きょうは、下駄の日です」。 朝一番、父の車に乗り込むと音声が響く。日ごとに初めてエンジンをかけた時、その日が「何の日」かを教えてくれるシステムらしい。 足指骨折につき走れず長く歩くこともできないため、都合のつく日には家族に送ってもらうよう…

地の利と行動力

このブログではもう何回も書いていると思うが、いま住んでいる地元は県外とくに四国外とのアクセスが非常に難しい。決して僻地ではなく、暮らすぶんには地方都市の中ではまずまず便利なほうなのだが、四国外へ出るときはいわば遠征プラン、メイン行動の予定…

名前のつかない困難

足指骨折後20日目にして、添え木を外すことができた。まだ完治はしていないので飛んだら跳ねたり自転車に乗ったりはできない。モーラステープを使用したので1ヶ月は患部を日光に当てないよう注意だ。 嬉しかったのは、入浴で患部を濡らす許可をもらったこと…

<ふつう>にかかるコストについて

足指を骨折して2週間が経つ。その間大変だったのは身の回りのケアである。 仕事は内勤なので職場へ着いてしまいさえすれば業務ができる。階段を上がって部屋に入り、自席のキャスター付き椅子に座り、デスクトップPCの電源を入れ、そこから一日が始まる。重…

足指骨折からのQOL再考

先週金曜、誤って右足薬指を骨折してしまった。職場の飲み会へ向かう途中、路面電車を降りようとしてステップから転げ落ちたのだ。蒸し暑い雨の夜で、傘を持ちスカートにサンダルという慣れない服装、足場の悪い車内、これまで服にお金をかけられずサンダル…

時短レシピと家事担当者の主体回復

SNSでつくり置きレシピのアカウントをよく眺める。そのうちお一方はよく見ると、常備菜を作って数回分の食事をしのぐというより 時短調理のレシピを積極的に発信していらっしゃる。めんつゆや電子レンジの活用、火の通りやすいor味のなじみやすい食材の切り…

法事のあとで考えたこと

土曜日は母方祖母の一周忌だった。上京し、滅多に帰らない弟も帰省し、家族で呑みに出た。私が探して予約した店だったが勘定は母持ちになってしまった。 法事に限らず盆や正月など家族親戚が寄り集まる場には独特の尾を引くしんどさがある。出てくる話題が仕…

ペットが教えてくれること

以前住んでいたアパートは、向かいがペットOKのマンションのようだった。朝、日課の体操をしていると柴犬を散歩させている女性が通りへ入ってきた。何となく視線を離さずにいると、向かいのマンションの玄関ホールに入っていき、何と犬も当たり前のようにぴ…

空き家問題が問いかけるもの

自宅近所はけっこうな勢いで空き家が増えている。のみならず、最近は空き家を取り壊して更地にする作業が進んでいる。近所づきあいが希薄なせいか更地になってからはじめてそこが空き家だったことに気づくこともある。閑静な佇まい区画であることも手伝って…

観光地に渦巻く時間

先月末、奈良へ旅行した折に乗り換えで京都駅を利用した。平日午後でほんの二十数分の滞在にすぎなかったのに、ホームへ滑り込んでくる電車は見るだけで気がふさぐような混み方をしている。京都の人混みは都市人口数や関西圏内の他府県からの通勤通学者に加…

協働作業の動線

先月半ばから休日出勤して戸外でイベント対応や、職場倉庫に眠る図書の移動と、仕事では身体を使う作業が続いている。貧血治療の甲斐あって代休なしでも疲労で体調を崩すことなくやれているが、自分はつくづく現場作業&チームワークに不向きだと痛感する。手…

気まぐれと絆しのはざまで

上の写真は、連休初日に訪れた山陽の街中にあるバス停で撮った藤の花である。晩春とはとても思えない寒さの中、昼過ぎに高速バスを降りてから外を歩く行楽はもう中止して夕方までずっと宿にいた。これはその宿へ向かう途中にふと視界に入って惹きつけられて…

前田正子『無子高齢化ー出生数ゼロの恐怖』から言えること

人口減少、人手不足、少子化、高齢化、若者の貧困化、日本国全体の貧困化—。これらが一つの糸で結ばれるのが本書である。 これらの問題は近年頻繁に論じられるようになったものの、それぞれ個別に語られることが多く、まして若者支援や国内労働市場における…

下り坂の時間

私には年上の友人が多い。大学院は社会人と留学生ばかりだったし、そこを出て働き始めた時も世間で言う新卒採用の年齢で就職したわけではなかったので、同年齢の同期というのが存在しなかった。 もちろん歳の近い同僚は前職にも現職にもいる。が、彼/彼女ら…

紙片の効用

今の私には自分でコントロールできることがわりと少ない。地元の地方都市で、両親と実家暮らし、かつチームワークの多い仕事となると、自分の選択や決定、采配で動ける余地などたかが知れている。 そのことが、かつてどれだけ自分を苛んだか。 台所もだいた…

家はたんなるハコモノじゃない

人が住まなくなった家というのはこんなに早く荒れ果てるものなのか。自宅周囲も空き家が目立つようになった。未曾有の少子高齢化で、空き家問題は今後ますます全国各地で拍車がかかることが予測されている。一方、マンションや戸建ては供給過多の風潮もある…

一つの癖

同居の父はたまに細かいくだらない家事のことで小言を垂れるのだが、最近落ち着いて暇ができたせいだろう。再雇用を経て完全に定年退職したのは四年前、その時から母方祖母の介護や父方祖父の入院&介護泊り込み→施設入居、父方祖母の家の片付け・通院など家…

服と収入と立ち位置と

かなり高額の買い物をしてしまった。来週末、久々に学生時代の同期や先輩、先生と会う機会があり、聞けばかなり盛大な集まりらしく、会場も温泉街の旅館にある大きなホールらしい。もう16年ぶりに顔を合わせる人びととお世話になった先生にせめて失礼がない…

「家族≠セーフティーネット」の時代

日本家族をとりまく状況はそれはもう厳しい。家事、育児、養育、看護、介護といった全てのケアワーク、労働者の再生産、地域社会運営など市場原理以外の活動が個々の家庭へ一気に押し寄せている。 そして、そのコストを国家サイドが全然意識してない。企業も…

広い通りに立つ時

母校の正門前の歩道が、昨年工事が入って秋頃から拡張された。いざ整備された歩道を見ると何とも清々しい気分で、なんで今まで昨年まで放置されていたのか、出来るならもっと早くやってくれればという気持ちになる。 何しろこのエリア、市内の文京区でありな…

大学のない街で

日曜は家族と母の郷里へ出かけてきた。メインは浜辺近くの神社での梅見だったが、途中で施設に居る父方祖父との面会、地元工芸品の店で買い物、母方祖父母の墓参りを経てある中華料理屋で昼食に。そこで考えたことを少し。 店は街中の官庁街に面した通りの少…

つくおき考

作り置きおかずが人気だ。一時期流行って、おそらくいまも書店にはレシピ本が専用コーナーに置かれている。 あれは、おかずそのものの美味しさよりも時短や家事の合理化、もっと言えば自分や家族の食をマネジメントしているという全能感を味わうためのジャン…

あり得たかもしれない未来

年が明けた。現職はカレンダー通りの勤務で私の仕事始めは4日からだった。が、休みを取った人も多い。すぐまた土日が控えているのだから遠方へ帰省した人はまとまった時間が欲しいだろうし、世間でも本格稼働開始は7日からのところが多かったようだ。 7日の…

就職と引き換えに

外国からの移民受入を拡大する法案が通過した。で、ネットでは人道的・経済的観点からあまりに拙速な通し方について反対が次々と噴出している。中でも深い絶望に裏付けられた批判はいわゆるロスジェネ世代(就職氷河期世代)からの怒りだ。じつにもっともだ…

ヤマが動くとき

先月は大きな変化があった。 一つは奨学金の完済。 もう一つは祖母の他界。 前者は長く背負った経済的重荷が吹き飛び、後者は長い介護の終わりから両親とくに母に時間ができたことを意味する。パート先が夏休み時短中なせいもあって、彼女はせっせと断捨離に…

アメリカという大きな家ー想田和弘編集『ザ・ビッグハウス』に寄せてー

http://thebighouse-movie.com ミシガン大学アナーバー校が所有し、同大学のアメリカンフットボールチーム「ウルヴァリンズ」の本拠地である巨大なスタジアム。その通称ビッグ・ハウスを題に冠したこのドキュメンタリーには「アメリカ国家の縮図」を描いたと…