いわきび、森の明るみへ

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ビッグイシューから学んだこと


 ビッグイシューという雑誌をご存知でしょうか?ホームレスに仕事を提供し、自立を応援する事業として、ホームレス当事者が路上で販売する雑誌です。
定価は1冊350円、このうち180円が販売者の収入となります。最初の10冊は無料で販売者に提供され、その売り上げ売り上げ(3,500円)を元手に、以降は1冊170円で仕入れていく仕組みだそうです。

公式HPはこちら

ビッグイシュー日本版|ビッグイシュー日本とは


 扱うテーマはかなり多彩で、国内外の貧困対策、社会的困難を抱えた人たちへの支援や当事者の取組みはもちろん、新しい働き方、環境問題、原発問題、社会的企業オルタナティブ・ライフ、アート情報なども満載である。硬軟取り合わせた誌面になっています。

 2003年9月の創刊から現在まで一貫しているのは何を扱っても硬派雑誌にありがちな「上から目線」ではなく、いわば「低みから支える視点」があること。

 ビッグイシューでは、世間一般では偏見が根強く扱うにはセンシティブだった問題-たとえばひきこもり、精神疾患、若者の就職難・住宅難、アルコール・ギャンブル・薬物などの依存症、自殺をめぐることなど-を早くから特集で取り上げています。 

 関連記事は以下。

ひきこもりの最新記事はこちら
http://bigissue.jp/backnumber/bn305.html

薬物依存症の治療のいま
http://bigissue.jp/backnumber/bn158.html

べてるの家の取組みなど
http://bigissue.jp/backnumber/bn158.html

茶番化する就活問題
http://bigissue.jp/backnumber/bn158.html


 読み進めるにつれ、国内外ふくめて世界には本当にいろんな人がいるのだという当たり前の事実に気づかされます。それはオピニオン欄に顕著で、そこには非正規で働く人、求職中の人、定年退職して社会活動に目覚めた人、定年退職して再雇用で働く高齢者、子育て中の人、病気や障害をもつ人、外国籍の人からの意見が寄せられるのです。いわゆる「社会人」の定義などなく、社会なんてあきれるくらい雑多な人間の寄り集まりでできていることを実感できます。

 私がビッグイシューを買うようになったのは2008年秋。身の振りが行き詰り、手探りで就活を始めた頃でした。リーマンショック派遣村がマスメディアを賑わせ、貧困対策にスポットが当たったものの、今思えばそこから3.11前までは、非正規雇用で働くリスクと貧困に陥ることの悲惨さが煽られただけの時期だった気がします。そんな中ビッグイシューでは生活困難者が利用可能な制度や支援団体の紹介、また路上生活当事者の声も載せていました。

 現在、あの頃よりもスマホは普及し、SNSも多彩で使いやすくなり、個人による情報の受発信は飛躍的にたやすくなりました。有益な情報はネットを通してWeb上でたくさん拾うことができます。オルタナティブな情報を得るために、なにも紙媒体にこだわる理由は全くないのです。
 しかし、路上で手渡され自分で頁をめくる誌面からは、まぎれもなくその雑誌固有の世界が呈示されています。カラフルでアットホームで親しみやすい記事の筆致やデザインからは、ビッグイシューという雑誌を通してのみ出会い味わうことのできる居心地の良さ-たとえ自分がどれだけ社会的に排除されているように感じても、世界には受け皿がいろいろあるし、支援団体も制度も声を出す場もあるのだという-を受け取ることができるのです。

 なお、ビッグイシューへの批判は昔から多々ありますが、ここでは記しません。貧困対策に万能薬はなく、困難に陥った人たちの生活再建と尊厳回復に必要な支援はそれぞれ異なり、この雑誌販売はその一つにすぎません。

批判に対する丁寧な反論はこちらで読むことができます。

http://lite.blogos.com/article/102073/


 路上販売が行われていない地域にお住まいの方も、ところによっては図書館の雑誌コーナーに置いてあるようです。一度手にとってみてはいかがでしょうか。